新聞連載「木の住まい塾」「スギ」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、花粉症の原因となる杉の木ではないでしょうか。現在、日本人の10~15%が花粉症になっているといわれています。花粉症の原因はただ単に杉の花粉が多過ぎる―ということではなく、人為的な環境変化が作用しているとみられています。

伊豆にもこんなに大きな天然杉(樹齢800年)がある(伊豆市修善寺の日枝神社で)

一方、杉を生産している林業家は価格が安い?外材におされて採算があわないという実情があり、杉がうまく活用されていない悲しい日本の現実が長く続いています。しかし杉は他の国にない日本独自の木で、日本を支えてきた木の文化を象徴するような木ともいえるのです。

木が丸太から製品になった時、木肌(木肌やツヤなど)を生かして使ったり、水(湿気)を吸ったりはいたりする調湿機能を建築にうまく取り入れたりして、日本の気候・風土に合った住まいを作り上げてきました。しかし今はムクの木材(天然木)を避け、ほとんど張り合わせたものを使い、工場で組み立ててきて家が作られているのが現状です。

桟積桟積乾燥中の杉(弊社にて)

杉は檜(ひのき)に比べて柔らかいため、以前は柱には使えても梁(はり)にはたわむので使えないと考えられてきました。15年ほど前から杉の曲げに対する強度が科学的に調査され、その結果、70年生以上の杉を3ヵ月、(さんづみ)乾燥=木材と木材の間に桟を入れ空気の通りを良くする乾燥法=させると瓦葺(かわらぶき)屋根であっても梁材として強度が十分であることが確かめられました。ただし土台は赤味の芯(しん)持材を用いるべきです。

梁材といえば日本の松が使われてきましたが、松くい虫にやられ松が少なくなってしまいました。最近では梁材は輸人材の米松でまかなうことが多くなっています。ただ中国やインドなどで需要が高まったこともあって価格が高くなりつつあります。そこで日本では今、終戦後に植林された杉や桧を見つめ直し、うまく活用すべきではないでしょうか。