第7回:貴重になった国産の松

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日本の一年は門松で始まり、松はおめでたいことに使われます。松は一年を通して緑色をしていて「天橋立」「松島」などのように松の美しさをたん能できる名所も日本にはたくさんあります。

下の写真は、山形県最上町にある幹周りの太さ日本一の松と訪ねた井川会長です。

会長と日本一の松(山形県最上町)
会長と日本一の松(山形県最上町)

また沼津市の千本松原などのように防風林としても活用されてきました。しかし静岡県はじめわが国の多くの地域では松くい虫が発生して松を次々に枯らし、木材としての松の生産が少なくなってしまいました。 今、国産の松は非常に貴重です。

松を減らした要因のひとつである松くい虫とはいったいどんな虫でしょうか。そんな名前の虫は実際には存在せず、正式には「マツ材線虫病」と呼ばれる伝染病で、松を枯らす犯人は「マツノザイセンチュウ」という線虫です。

マツノザイセンチュウは繁殖力が強く、25度で21日たつと1つがいのオスとメスから50万匹まで増えるといわれています。マツノザイセンチュウは自分自身で木から木へと移ることはできず、マツノマダラカマキリを介して移動します。そして健康な松を次から次へと枯らしてしまいます。

そんな松ですが、古くから梁(はり)材として利用されてきました。寺などにも多く使われている通り、強度があって長待ちすることでも知られています。最近では古民家を再生する際、松の梁材が必ずといってよいほど活用されます。200年以上たった古い家でも、さらに100年以上は十分にその役目を果たしてくれるでしょう。

県内には梁材として使えるような松はほとんどなくなり、多くが県外から入ってきています。また梁をむき出しにする人も増えていますが、梁材の加工は機械化されて、梁丸太は機械で加工することが難しく、手加工で行われる場合が多くなっています。

太くて良質な松は力強さが感じられ、住む人に安らぎと安心感も与えてくれます。