第8回:大黒柱に助け合う心を学ぶ

daikokubashira

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今回は「欅(けやき)」がテーマです。日本中に”欅通り”と名の付く街路はたくさんあります。私の会社前の国道414号にも街路樹として欅が植えられています。
当社の前の国道沿いに街路樹として植わる欅(伊豆の国市内)
当社の前の国道沿いに街路樹として植わる欅(伊豆の国市内)

なぜ欅が街路樹なのか考えてみると、成長すると思い切ってせん定できる(たくさん枝を切り落とすことが可能)など、比較的強い木だからだと思います。もちつきの臼(うす)や和太鼓などにも欅が使用されることでもおわかりでしょう。

しかし住宅街などではスズメやムクドリなどのフンや鳴き声、落ち葉に悩まされる人も多いのではないでしょうか。

会長と直径約5メートルの日本最大の欅(山形県東根)
会長と直径約5メートルの日本最大の欅(山形県東根)

さて欅は製品化され、大黒柱として昔の住まいには必ずあったような気がします。大黒柱を中心にすべての柱が協力し合っている姿から『家庭円満の柱』とも言われています。このこともあるのですが今の時代に使うのはちょっと難しい面もあります。それは10年以上、自然乾燥させて使っても割れや狂いが出てクレームとなることもあり、木材業としては神経を使い、頭を悩ませる木でもあります。

製品化された大黒柱の割れは、私たちの健康に大切な・調湿機能(水を吸ったり吐いたりすること)をしっかり行っているから生じるとも言えるのです。加湿器や除湿機などを使わなくても木が自然に行っています。木材が死んだ状態なら割れも狂いも生じないでしょう。まさにそれは生きている証拠なのです。

よく考えてみると調湿機能のほか、樹木は二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素を供給するなど、私たちにたくさんの恵みを与えてくれているのです。

欅は堅くて強度があり、木目も美しい木です。寺社建築にもよく使われ、昔から庶民の住宅建築ではあこがれの木材だったのです。古民家の再利用でも欅材は重宝がられています。こんな欅の特性を多くの人に知ってほしいと思います。